ポリファーマシーとは何か?
ポリファーマシー=poly+pharmacy→
たくさんの薬・多剤併用
つまり、患者さんに対して、たくさんの薬が処方されている状態のことである。
ここで大切なことは、たくさんというところで、
何剤という具体的な数の決まりはない。
厚生労働省の資料(高齢者の医薬品適正使用の指針案)の中に、
ポリファーマシーの概念として記載があるので、抜粋すると、
「・・・。多剤併用の中でも害をなすものを特にポリファーマシーと呼び、
・・・ポリファーマシーは、単に服用する薬剤数が多いことではなく、
それに関連して薬物有害事象のリスク増加、服薬過誤、服薬アドヒアランス低下等の問題につながる状態である。」更に、「本質的にはその中身が重要である。・・・一律の剤数/種類数のみに着目するのではなく、・・・処方適正化が求められる。」となっており、これが概ねポリファーマシーの本質である。
ところどころ、聞き慣れない言葉があるかもしれないが、それについては、今後詳しく説明をするので、大きな概念として捉えておくといいかもしれない。
キーワードとしては、
「錠数によらない多剤併用」・「それにより何か問題につながる状態」である。
錠数によらないと書いたが、5〜6剤以上では、薬によって引き起こされた薬物有害事象や転倒・死亡・機能障害・フレイルなど、さまざまな問題が起こるとされている。そのことから、薬の内容によらず、5〜6剤以上をポリファーマシーと呼ぶこともある。
5〜6剤と目にして、どのように感じられただろうか?
ちなみに、医療機関で薬を貰っている75歳以上の約40%、65歳〜74歳で30%弱が5種類以上の薬を処方されている(平成29年社会医療診療行為別統計)。
また、2疾患以上の慢性疾患を持つ高齢者の平均服薬錠数は5.8剤であった。
年を取れば病気になる確率も増え、病気の種類も増える、これは高齢化社会と切り離して考えることは出来ない。
つまり、「長生き」・「多疾患」・「多剤併用(ポリファーマシー)」がこれからの医療のキーワードになる。それをどう捉え、どのように対応していくか、医療従事者のみならず、患者さん・家族も一緒になって考えて行く必要がある。